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カーニッシュメールという南仏のプロヴァンスの村を再現したので、その村の写真をたくさん振ってきてボードに貼ったり、フランスの地図が一緒に貼りつけてあったりして雰囲気を盛りあげています。
お店はオーナーの人柄を表現するものだと思います。
ということは、お店の外観やしつらえは、人間にたとえるならどんなお洋服を着て、どんな靴をはいてしるかという身なりそのものです。
身だしなみがその人となりを表しているのと同じように、お店の近所の環境から始まって入日、窓、ドア、床、哩、部屋の中の空気、におい、全てにいたるまでオーナーの考えているイメージそのものを表現していかなくてはなりません。
ちんと押さえられているお店は案外少ないのが現実です。
純和食のレストランなのにスタッフがジーンズをはいているお店フランス風を打ち出しているのに、かかっている音楽がアメリカンポップスのお店。
誰だってフェミニンなお洋服で下駄をはいたりしないのと同じように、売られている商品と、販売している人と、お店の細部にいたるまでのイメージがあっていないと、それはすてきなお店にはならないのではないでしょうか。
商品の仕入れを考える前に、あなたにはもうすでにどんなお店にしたいのか、ある商品を見つけてそれに相応しいお店をやりたくなった、ということもあるでしょう。
お店をはじめるのに「これを売りたい」という明碓な、どうしても譲れない理由というのがある方が、あなたのお店はそれだけ有利です。
なんとなくこれがいいかな?とか知り合いの人がこれがいいと言っているとか、そんなきっかけで商品を扱おうとしているのならちょっと立ち止まってみてください。
きっかけはそれでもいいですが〝あなた〟という軸がそこに入っていないと意味がありません。
きちんと考えてお店をはじめる前にその軸がぶれないように決めておくといいでしょう。
私なら「売りたいもの」は、〝こんなエレガントな暮らしの道具を使って生活している私ってすてき″と思っていただく気持ちです。
そのための品揃えは自分の目で確かめて、あなたなりのセレクション能力を大いに発揮してください。
お店はあなたの舞台。
商品は役者です。
あなたがお店をやる場合、取り扱いメーカーさんとのいい関係は命です。
お互いの考え方が違っていたり、打ち出して欲しい方向性が違っていたらどちらにとってもゆくゆくいいことはありません。
きちんと納得できないならお取引はキッパリやめた方がいいでしょう。
ここは妥協してはいけないところの一つです。
これからのショップ経営は、ただ商品を仕入れて棚に並べているだけでは売ることが難しくなってきました。
商品にあなたなりの付加価値をつけて、あなたなりの編集をして売らなくてはその商品の魅力をお客様に気づいてもらえません。
まずはあなたがあなたの商品に惚れ抜いていることそしてそれを使いこんでいること。
そうするとお客様から見れば商品に命が吹き込まれたようなものですから、あなたの店から商品を買いたいと思ってくださるはずです。
こういうお店からカリスマ顧客というような方が現れて、そのお客様に連れられてその家族、お友達にとどんどんショップのファンの輪が広がってやがて大きなコミュニティになってゆくのですから、小さな一歩でも、のちのち大きな一歩になることを忘れずに、あせらず、あなたらしく着実に前進しましょう。
アンティークホーローを複刻すること、それはまだ誰もやっていないことで未知の世界でした。
日本にもホーローは戦前からあり、例えばお医者様の手を洗うフ口付の洗面器やお漬物を漬けたりする容器、トイレの二角汚物入れなど記憶の中にある方もいらっしゃるでしょう。
でも私が見て可愛いと感動して最初につくろうと思ったものは、まだ当時ほとんどの日本人にとって「なんだ、これは?」であったアンティークのホーロー、ブレッド缶だったのです。
元々イギリスの商品であったため、まずはイギリスで制作してくれるところはないか探しました。
こういう場合各国の出入り機関である大使館の商務部にまずは間い合わせをしてみます。
国によってとても親切に相談に乗ってくださるところもあるし、そうではないところもあります。
しかし、今の時代インターネットもあるので私が悪戦苦闘した頃よりもはるかに情報が集めやすくなられているのは事実でしょう。
イギリスでは結局どこでもつくってはいないことがわかり、今度は日本でつくってくれるところはないか探しはじめました。
さんざん探して発見しました。
日本でまだホーローをつくっている会社が数件ほどありました。
私はそこに電話をしたり、実際会いに行ったりして私の「どうしてもこれをつくってもらいたい理由」を情熱を持って語りましたが、どこも門前払い。
まともに私の話を聞いてくれるところすらほとんどありません。
「どうしてこんな未来のある商品なのに誰も相手にしてくれないのだろう。
まだこの日本で誰もつくっていないものなのに、何故チャレンジしてくれないのだろうって」と悩みました。
当時の私には工場側の事情(工場は製品を効率重視でつくるところなのでどんなにいいものであるとの個人の思い込みがあっても生産ロット、B級品がある確率などの問題抜きには簡単には制作してくれない)が全然わかっていなかったので、ただただ首を縦に振ってくれないことにイライラし、がっかりしていました。
もちろん今までに見たこともない代物です。
販売実証データや、アンケート調査の結果などの人を説得できる分析資料などあるわけもないし、第一本当のことを言えば、私にだってこういうものがこれから本当に売れてゆくのか、多くの人に受け入れられるものなのか、なんて何ひとつわかりません。
やっと大阪のある工場さんに「私がコストを全部持つ」の条件つきでつくってもらうことができました。
ブレッド缶をつくってみて、どうしてあれだけ嫌がられたのかがよくわかりました。
最初に生産した二〇〇個のうち良品として出来たのはなんと二個だけ。
蓋が閉まらなかったり、一度閉まったら二度と開けられなくなってしまうものだったり、本体がゆがんでいたり…。
つくったこともないものは文字通りやってみなければどんな不具合が生じるかわかりません。
上場の方には来る日も来る日も試行錯誤をしてもらい大変な努力と忍耐でまともに出来あがるまでにさらに一年近くかかりました。
その時は私がどうしてもこれからの全人生をかけて売りたいものはこれだからという理由だけで、執念で工場を説得して回りましたが、それが結局は日本におけるホーローの需要再生につながり、雑貨業界におけるホーローブームのさきがけをつくりあげたのです。
誰も手をつけていない商品というのは、手をつけられない困輝な理由がそれなりにあるはずです。
それを突破するのは並人程の努力では出来ません。
けれどその困難と引き替えに、それを突破した時には大きな達成感に大きな果実が待っているものです。
私の会社はそれから一気にアンティークのレプリカシリーズをつくりはじめ、大輪のローズの優しくて美しいデサィンに特化した商品に全商品を切り替え、陶器や布製品も含めて、今では維貨業界の中でも特別な地位を得ています。
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